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2005年 12月4日の例会報告

12月4日の例会報告です。

(1)カナダトロントの小学校の教育実践の報告(難波先生)
(2)読み聞かせの実践報告(鈴木先生)
(3)国内で読書活動が盛んに言われるようになった背景(今井さん)

(1)難波先生は今年9月にカナダのトロントに行かれました。そのときに見学した、トロントの総合学習と教科の融合を行っている小学校の実践報告をビデオとレジュメで発表されました。
 この小学校は、単元学習を唱えたデューイの理論を元に実践を行っている実験校です。学費は通常の私立に比べ半額です。半分大学から援助を受けているからです。入学は先着順です。
 カナダの公立学校はファーストフードのような詰め込み教育です。カナダの教育水準は世界で高いレベルを持っています。それに対してこの実験校はスロー教育として地元の新聞でも取り上げられています。
 ただし、学力的にも高い学校だそうです。
 教員は全てスカウトされてきています。ほとんどの先生が子どもにゆっくり、はっきり話しています。
 語彙に力を入れています。mならmの語彙を集めていたり、前の週でキャンプに行ってきたら、次の週でキャンプに関係するクロスワード(先生手作り)をさせます。このクロスワードは10年来の歴史の中で蓄積があります。
 授業のスケジュールはその日の朝に決まります。子どもたちは教科書を持って行かなくてよいのです。授業は30分単位。
 授業の風景はいいなと思えることがたくさんありました。 
・子どもたちが自由にしている。
  読書の時間はカーペットの上で寝転んだりしています。でも、みんな靴はいたままです。
・授業中に自由に廊下に出ていい。
  廊下にふらっと一人や二人出ても注意されない。大学生の補助員がフォローをしてまた授業にちゃんと戻ってくる。
・子どもたちの声が大きい。
    
●小学校の授業とは思えない高いレベルの授業でした。
・常に先生が子どもたちに行為の意味を問いかけます。
 「これをするのはなぜか」
 子ども自身に自分が行っていることの意味を問い返させる。
 子ども自らの言葉で発言させる。
 また、先生の投げかけに子どもたちがぽん、ぽんと返してきます。
・一人ひとりの違う意見を発展させ、レベルアップさせる。
 コンピューター上で、意見、賛成、反対などの分類で、子どもに次々に自由に意見をリンクさせる。
・新聞記事をマーカーで引かせ、5W1Hを自分の言葉で発表させる。

 こんなことを小さい頃から訓練してれば、大人になってさぞしっかりした発言ができると思います。

●音楽の授業は笑えた。
 音楽の授業で、全然子どもたちの音程は合っていなくても、先生がギター片手におかまいなしに子どもたちと楽しく歌っている。みんなと揃えることが目的ではなく、体を思いっきり使って音を楽しむ、音を出すための体をつくっていく準備になると思った。

 この学校で育った子どもたちは、自己表現ができるが、逆にもっと協調性や礼儀を持つのが課題であるようです。
 それを考慮しても、もし子どもがいたらこの学校に入れたいと思う程でした。
 
 難波先生の話では、カナダ人は外国人に対してゆっくり話してくれたり待ってくれたりしてフォローをしてくれるとのことでした。また、環境問題やユニセフに関心を持っているとのことでした。実際、子どもたちもユニセフに関心を持っていました。
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(2)鈴木先生が小学校6年生の教育実践を報告されました。
盛りだくさんの実践でした。

●毎朝読み聞かせを行う。
どれも読み応えのある本ばかりです。『ダレン・シャン』『精霊の守り人』『ローワンと魔法の地図』『バッテリー』。
1日20分ないし30分かかり、授業にくいこむこともしばしば。
興味深い内容のため、子どもたちももっと続きが聞きたいとのリクエストが多かった。

●朝日小学生新聞を私費で購入、帰りの会で日直にニュースを紹介させる。記事の中に文字を見つけるよう指定した。

●聞き方を身につけさせるために、顔の表情を変える訓練をさせる。
賛成、反対等の意思表示を相手にわかるように、顔の表情をつくるよう宿題を出した。表情が豊かな子には積極的にみんなの前で褒め、みんなの前でやらせ、みんなで真似るように指示した。

●発言の苦手な子にはおもちゃのメガホンを使って言いやすいように促した。
普段発言しない子の中にはメガホンを使うと(先生の耳元になら)自分の考えが言いやすくなるそうです。

●学級会では司会、オブザーバーに時計をもたせ、子どもたちだけの力で話し合いを進められるようにした。
オブザーバーは話し合いの仕方に意見する立場とした。


☆「読み聞かせ」をする意義を書きたいが、どうしたらよいか。
   ↓
 本が好きになったり、読書の幅を広げる他に、学力的に向上した成果が必要。(例)語彙。漢字の点数アップ。 



(3)今井さんが読み聞かせが盛んに取り上げられるようになった背景をまとめました。

 今井さんは各地で読み聞かせの講座を持っています。読み聞かせボランティアのお母さん方に、読み聞かせをする前に、なぜ読み聞かせが盛んに取り上げられるようになったか、その意味を考えてほしい、と訴えます。国の方針として読み聞かせが進められてきたのは、少子化対策が根底としてあると説明しています。

 2000年 子ども読書年推進会議
 2001年 子ども読書活動の推進に関する法律公布
 2002年 子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画が閣議決定

●読み聞かせの大切さ

・今井さんは赤ちゃんたちに読み聞かせを行っています。その中で、赤ちゃんみんなで絵本を見る−「共有」することの大切さを実感しています。
・読み聞かせする際には、読み聞かせに集中できる環境をつくり、赤ちゃんやお母さんたちのそのときの読む空気に合わせて絵本を選び、絵本を読む順番も考える必要があります。
・『きつね女房』はぱっと見の絵の感じからあまり選ばれない絵本ですが、みんなで見るとあざやかさが浮かぶいい絵本です。
by bamusenokai | 2004-12-05 23:08 | これまでの例会報告


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