3月5日の日本児童文学学会中部例会の報告です。
(1)「国語科授業を文学から解放しよう、あるいは、文学を国語科授業から解放しよう」 広島大学の難波先生が発表されました。 先生は、旧学習指導要領で使われる「正しく読み取る」という言葉を問題視しています。 この「取る」とは何を「取る」のか。 「正しく」読み取るとは、すなわち、教師が「答え」を用意することに他ならない。 センター試験を頂点として、試験における文学の心情の読み取りの比重は大きい。この現実の中で、多くの教師は文学の楽しさをわかちあう授業をめざしつつ、国語の文学教材の授業で「人物の心情が正しく読みとれる学力」もつけようとしてきたが、それはしんどいことである。 文学教材の授業では、「試験」で問われる「学力」と、「絶対評価」の困難さから、「人物の心情」を「読みとる」ことが授業の主要部分になっている。 難波先生は、国語科を国語科だけの領域にとどまらず、解体・再構築することを提案する。 コミュニケーション領域、表出領域、思考領域、イメージ領域、思想領域、メディア領域の6つの領域である。詳しくは「国語科解体/再構築」HPと冊子「コクゴ」(国語科解体/再構築研究会発行)で展開しています。 (2)「文学を読む上においての基本的な考え方」 名古屋児童言語研究会の加藤昇先生が発表されました。 児童言語研究会(児言研)では、「ことば」を通達の手段としてだけではなく、感情・思考・認識を深めるものとしてとらえています。 また、加藤先生は、こどもは、交流の中で思考を訂正し、深め、他者と自己を認識していくととらえています。 加藤先生はクラスの中で発覚したいじめ事件とその後で行われた「ロシアパン」の授業とをからめながら教育実践を発表されました。 いじめの発覚から4日間できちんと子どもたちとお母さんに対応された加藤先生の対応にすごい、と思いました。自分たちの行動を振り返り謝るとともに、いやだと思った点を相手に伝えた体験を通じて、授業の作品の感想の中で、表面的ではない心からの言葉が子どもたちから出てきたのだと思います。 (3)「本の世界を広げよう」 名古屋市立小学校教員の幾本幸代先生が発表されました。 幾本先生は、子どもたちの本のある生活をと願って、国語科の授業、評価を超えて、日々実践されています。 6年生でも楽しい絵本を選んで読むと、喜ぶ。毎週木曜日の朝の読書タイムや、ブックトークや、物語の読み聞かせ、本の紹介、アニマシオン、1年生に対して1対1のペアで絵本の読み聞かせを行う。 (4)「読書支援と日本語運用能力教育の2系列化」 愛知教育大学非常勤講師の牧恵子先生が発表されました。 牧先生は以下の2点を提言されました。 1.国語科教育のなかで、「読書支援」と「書く・聞く・話す」活動を自覚的に区別することが重要。 2.言語運用能力の点からも、アウトラインをつかみ短くまとめる方法を提案したい。 牧先生は実際に大学生に再話法の教育実践をされています。 児童文学作品を書きかえ、音声化し、CDにして発表させる。
by bamusenokai
| 2005-03-13 22:42
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